一番てっぺんに!

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「あ、お、あ、えっと、は、はじめまして俺じゃなくて、私はムツヤと言いまず!」  外の世界に出た時の挨拶をずっと練習してきたはずが、さっとその言葉を言えずムツヤは顔が赤くなってしまった。 「はじめまして、ねぇー…… 私は『はじめまして』じゃないつもりだったんだけどもな~」  そう言って女は近づいてくる。  最上階付近ということもあり、知能の高いモンスターの可能性は捨てきれないのでムツヤは剣を構えたままだ。  人のようなモンスターはよく見かけたが、奴らは言葉も話さず襲いかかってくる。  だが、今回はそうではない。  今のムツヤには相手の正体が誰かわからないままだ。 「私の名前はサズァン、いわゆる邪神様ってやつよ」  邪神。外の世界の本の中にも書いてあった。  ムツヤの中で邪神というのは、人を呪い、時には殺すよりも残酷なことをするらしい何か凄くヤバイ奴ぐらいの認識だ。 「その邪神様が何のようでごじゃ、ございますでしょうか」  相手をからかっている訳ではない。  ムツヤはいたって真面目だが、慣れない尊敬語を緊張しながら使った結果このような言い方になってしまったのだ。  するとサズァンは口元を手で隠してクスクスと笑い始めた。
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