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「えーっと、うーんと、どうしたのものでずかねー」
またも言葉に訛りを出しながらムツヤはうんうんと悩んでいた。
サズァンはそんなムツヤを見て問いかける。
「そもそもなんで急に最上階に行きたいなんて思ったのかしら? いつもテンタクルドラゴンきもいーくさいーって言ってあの階より上に近付きもしなかったのに」
テンタクルドラゴンという名前は知らなかったが、会話の中から例の触手トカゲの事を言っているのだとムツヤは理解した。
「えーっどですね、なんずったらいいか、ウチのじいちゃんが外の世界は危険だからって、せめてあの塔の最上階に行くぐらいは強くならなくちゃダメだって言っでてそれで」
それを聞いてサズァンは今日一番の笑い声を上げた。
クスクスなんてものじゃない、口元を隠していた手をお腹に当ててもうゲラゲラとだ。
「あなたねぇ…… あなたもおじいちゃんも正気で言ってるのかしら? ここまで来られたらもう外の世界のモンスターなんて寝ながらでも倒せちゃうわよ?」
笑いすぎて目に涙を浮かべたサズァンの言葉にムツヤは衝撃を受ける。
強いと信じていた外の世界のモンスターを寝ながら倒せるなんてと。
「っていうかあなたのおじいちゃんってタカクよね? まだ元気にしてる?」
ムツヤには驚きの連続だ、目の前の邪神は自分の祖父のことを知っていたのだ。
「え、えぇ、最近ちょっどー弱ってきちゃいましだけんど、まだまだ元気だって言ってまず。サズァン様はじいちゃんの事を知ってるんですか?」
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