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その質問をするとサズァンはふっと軽く笑ってムツヤから目を逸らして言った。
「むかーし、ちょっとねー。それよりどうするの? 私を倒して最上階まで行くの?」
ムツヤは腕を組んで考える、外の世界のモンスターは案外大したこと無いんじゃないか。
しかし、強さの証明の為には最上階へ行かなくてはならず、行くためにはサズァンを倒さなくちゃいけないけど、倒したくない。
でも、外の世界には行ってみたい。
ぐるぐると思考を巡らせた結果ムツヤが生み出した結論はこうだ。
「嘘ついちゃうか、じいちゃんに」
ムツヤはぼそっとそう言った。
右の人差し指を頬に添え「あら、それで良いの?」とサズァンは聞き返す。
「一番上まで行っだっでじいちゃんに嘘付いて外の世界に行きます。俺はサズァン様と戦いたくないですし」
「ふふっ、そう」
笑顔を作った後にサズァンはムツヤの元へ近付いてくる。
ふわっと香る今まで嗅いだことの無い良い香り。綺麗な花を目の前に散りばめられたような甘い香りだ。
「私はこの塔から外に出ることは出来ないけど、あなたにコレをあげるわ、私も退屈だから外の世界を見てみたいし」
サズァンはムツヤの手を両手で握り占めるようにして紫色のガラス玉付いたペンダントを渡した。
邪神とはいえ初めて異性に触れたことで胸の高鳴りが一周して気絶しそうになる。
頭に残った印象は温かくて柔らかかったという事だけだ。
「コレを付けていれば、困った時に助けてあげられると思うわ。と言っても直接手出しはあまり出来ないからアドバイスしてあげるだけだけど」
フフッと笑ってサズァンは続ける。
「後はどうしても寂しくなったらこの塔に戻ってくるのよ? いつでも私がたっぷり慰めてあげる」
恐ろしい邪神様なのだろうが、案外いい人、いや、いい神なのかもしれないとムツヤは思い、決心して言うことにした。
「サズァン様、俺のハーレムに入って貰えませんか?」
5秒間ぐらい静寂が流れる。
最初はポカンとした表情をしていたサズァンは次第に笑いを我慢するような表情になり、また両手で顔を隠して後ろを振り返った。
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