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「待って待って待って、本当この子可愛すぎ、どーしよ、年の差なんてまぁうーんいやでもーうー…… やっぱり小さい頃から見てたから情が移っちゃったのかしらね」
さっきまでの気品と神々しさはどこへ言ったのか、サズァンは小声を言いながらくねくねと悶ている。
ふと、独り言をピタリとやめて振り返った。
そのサズァンには気品と妖艶さが戻っている。
そして、聞き分けのない小さい子供を諭すように言う。
「いいムツヤ? 私は神で、あなたは人間、しかも私にとってあなたは弟とかそんな感じなの」
そう言われたムツヤはこの世の終わりが来てしまったとそんな顔をしていた。
その後はもう、わかりやすいぐらいに落ち込んだ。
おそらく人生初の恋はすぐに幕を閉じたのであった。
「あーそのえーっと、あなたが嫌いってわけじゃ無いわよ? むしろ好きだし、でも私は邪神だしね、それにアナタには外の世界を見て来て欲しいの」
ムツヤは聞いているのか聞いていないのか、口を開けたままアホっ面をしてピクリとも動かない。
「わかった、もうわかったから! 外の世界を見て成長なさい。それでハーレムでも作って、色んな女の子を知るの、それでも好きな人間の子が出来なかったらその時はまた戻ってらっしゃい。そうしたらまたもう一回考えてあげる」
ムツヤはその言葉を聞くとコレまたわかりやすくパァッと笑顔を取り戻した。
この時サズァンはムツヤが尻尾を振る可愛い子犬の様に見え、抱きしめて頭を撫で回したい衝動に駆られたがぐっと堪える。
「わかりました、サズァン様。俺は外の世界を見て、外の世界で成長すてハーレムを作ります!」
「はいはい、わかったわかった。そのペンダントを付けてればたまーにお話もできるから困ったら頼って頂戴ね」
ムツヤはハッと思い出して頭を下げる。これは感謝の気持ちを表す行為らしい。
来た道を戻る途中、一度だけサズァンを振り返ると笑顔でひらひらと手を振り返してくれた。
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