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一番先頭にいるオークの、おそらくは女であろう者が、後ろで結ってまとめた栗色の髪を揺らしながらこちらへ近付く。
そして、剣先と殺意をムツヤに向けて質問をする。
「異国の者だろうと関係はない。何をしに来た」
「あのですねぇー、こっちにさっぎ結界から通っで来だばかりでしてぇ、怒らせだのなら謝るんで許してくださいませんか?」
ムツヤは両手を胸の前で開いて言った。
戸惑っていたし、恐かった。
モンスター相手の戦いであれば慣れたものだが、対人戦は経験がない。
サズァンと戦うことを渋ったのも、サズァンを好いてしまった事の他に、内心では人と戦う恐怖もあったのだ。
オークは互いに目を合わせる。
目の前の人間の言っていることが何一つ理解できない。
「とにかくだ、その剣に鎧、上質な物だろう、ただの冒険者ではないな? まずは武器を捨ててこちらに投げろ」
ムツヤは頷くと剣を女オークの元に放り投げた。
地面に落ちたそれらを女オークは自分たちの背後へ蹴飛ばした。豚のようなオークがムツヤに次の命令をする。
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