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「昨日土砂降りだったよね?」
「なんで外に出ちゃったのかな?」
「学校の近くでしょ?」
「雷に打たれるとかあるんだね……」
あらゆる疑問や憶測が次から次へと流れては消えていく。
─── だが、そんなことはいまどうでもいい。
俺は唇を噛み締めた。
─── そんなこといいから、彼女のために涙の一粒でも流してやってくれ。
そして、密かに願った。
だが、そう念じたところで涙を流す奴は一体何人いるだろうか?
見渡せばいつも通りの教室。
教卓から見えるのはいつも通りの風景。
彼女の存在がまるで最初からなかったかのように、この空間には"弔い"が微塵も感じられない。
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