最果てのグッド・バイ

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「先生がすきです」  それはわたしの口によく馴染んだ言葉だった。もう何度口にしたのやら。数えてなかったからわかりはしないけれど、きっと百を越えているように思えた。でも百何回目かになるだろうこの言葉も今日で最後、言いおさめになる。ラストチャンスというやつなのだろうけど、わたしは赤いかおで告げる頭の中どこか冷静で、この表現が適切でないとわかっていた。だってチャンスなんていったら可能性があるみたいだ。そんなもの、ひとかけらたりともありはしないと知っている。わたしの恋は一方通行の道を歩み続け、今この瞬間ついに行き止まりにたどり着いた。 「ありがとう」  彼の唇がゆるりと弧を描くのを見た。この笑みだって、もうどれほど目にしたか定かではない。  わたしの何回目か知れない告白が最後になること、このひともわかっているにきまっているのに、彼のこたえは今日も同じだった。初めて胸のうちを口にしたときも、ありがとうとそれだけを言ってうれしそうに笑っていた。彼がわたしと同じおもいを向けてくれることがないと知りながらも、ずっとことあるごとにすきだすきだと言い続けたのは、彼の残酷なまでにきれいな笑顔がいっとうすきだったからだ。
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