第1章

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 いや、僕だって女性にしっかりと興味はあるんだよ!ただ、極度の上がり症と内気な性格が災いして今までの26年間の人生で付き合った彼女は、未だにゼロなんだ。悲しいけど、それが現実。頭の中の妄想では、数え切れないほどの女性と交際してきたんだけどね。  駅から出ている送迎バスに乗るために停留所へ向かった僕は、一瞬ハッとさせられてしまった。さっき香ったいい匂いが何故か?また、漂ってきた。 「うん?どういうことだ?」  送迎バスが来るはずの時間は、あと10分ほど。僕は、さりげなく周囲を見渡してみた。 「おかしいな?誰も居ない……」  結局、わけの分からぬまま僕は、会社の送迎バスに乗り込んだ。  会社である倉庫に着いた。これから、夕方6時までひたすら働くのだ。その時、今日三度目の、あの香りが漂ってきた。当然その場で周囲を見渡した。 「やっぱり、誰も居ない……」  なんだか気持ちの悪い違和感を覚えながら、僕は、会社である倉庫の中に入っていった。  午前9時。朝礼の時間だ。 「はい、皆さんおはようございます!」  所長の朝礼が始まった。多分、この後ラジオ体操やって今日の予定を言って作業が始まる。 「え~、本日から新しいアルバイトの方が、加わります。それじゃあ、軽く自己紹介してもらおうかな!」  少しだけ、みんなが騒めきだした。一体どんな人だろう…… 「有吉 美咲と申します。よろしくお願いいたします!」  みんなの騒めきが、より一層強くなった気がした。僕の位置からは、彼女の姿がよく見えない。 「今朝、駅の構内のカフェですれ違った男性の方が、今、私の視界にハッキリと映っています。同じ送迎バスに乗っていました」  彼女は、新人アルバイトにしては、余計な事を喋り出したので、みんなの反応は正直冷めていた。  その後、ラジオ体操を無難にこなした僕は、まずピッキング作業から始める準備をしていた。  ピッキング作業中に、さっきの新人アルバイトの女性の事を考えていた。カフェですれ違って同じ送迎バスに乗っていた……?いや、僕は違うだろう。大体いつもの顔ぶれだったし。衣類をピッキングし終わって次にアクセサリーのピッキングに向かった。台車を押しながらアクセサリーコーナーに入った僕は、今日四度目のあの香りを感じ取った。
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