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「初めまして。ううん、私は、いつもあのカフェであなたが頼む抹茶フラペチーノを見ていました。あなたと同じ職場に入れました!」
えっ!この子が……
僕は、朝から何度も嗅いでいたあのいい匂いの正体を遂に倉庫内のアクセサリーコーナーで見つけた。
「これからも、よろしくお願いします!」
彼女は、そう言って僕の横を通り過ぎていった。
彼女の身体から放たれたいい匂いに混じって、僕は、確信した。
キャラメルフラペチーノ。
あの時、すれ違った有吉 美咲は、きっといつもキャラメルフラペチーノを頼んでいた。
何故ならば、僕は彼女を1年も前から知っていたからだ。
夕方6時。終業のベルが倉庫内に響き渡った。
心地良い疲れを感じながら僕は、帰宅の準備を始めた。やっぱり今日は、忙しかった。
「あの、出来れば連絡先を交換したいのですが……」
有吉 美咲だ。これは、いわゆる「逆ナン」ってやつか?
3か月後、僕と有吉 美咲は、いつの間にか恋人同士になっていた。
あの日、感じたいい匂いの中に、ほんの少し彼女の気持ちが込められていたとしたら、それは、きっと香水の匂いなんかじゃなくて、アレだったんだ。
「キャラメルフラペチーノ」
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