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雨音に満ちる部屋で
今日は生憎の雨だった。
次の休みは一緒に出掛けよう、と話していたけれど、この土砂降りの雨の中、何処かに出掛ける気にはなれないと彼女が言ったので、僕が彼女の家に行き、一緒に過ごすことになった。
来る時はそうでもなかったのに、今では風まで強く吹いていて、窓に当たる雨の音が室内に響いている。
僕らは最初映画を見ようとしていたのだけれど、あまりに雨音が煩いのでそれを諦め、今はそれぞれ本を開いている。
僕は彼女が好きだというミステリー小説を、彼女は買ったはいいが読めていなかったのだというファンタジー小説を、それぞれ読んでいた。
僕は彼女と付き合いだしてから、よく本を読むようになった。彼女がよく本を読む人だったから、というありきたりな理由からだ。
今では僕も苦も無く文字を追えるようになり、こうして二人でただ本を読んでいる時間も楽しいと思える。
部屋の中には、雨の音と、時折本のページをめくる、紙の擦れる音だけが響いている。
「……雨の日って、良いよね」
本を読みながら、彼女が唐突に言った。
「どうして?」
僕は読書を中断して聞いた。
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