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「僕も、こうしてのんびりするのは嫌いじゃないから」
彼女はそっか、と笑って、まだ雨の降る窓の外を見た。
「……天気予報では、夕方には晴れるって言ってたの。だから、もし本当に晴れたら、少し散歩に行かない?」
「散歩? 別に良いけど」
僕がそう答えると、彼女は嬉しそうに笑った。
「雨の日の外出は嫌いだけど、雨上がりの空気がすごく好きなの。晴れると良いなぁ」
そう言う彼女を見て、僕も夕方には晴れると良いな、と思った。
とりあえず、夕方まではまだ時間があるし、雨は酷く降っている。
僕らは再び本に視線を落とし、もうしばらく、この雨音に満ちる部屋で、その世界に浸かっていることにした。
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