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「兄さん方は、他国からやってきたのかい」  孝明の説明に、宗平もぎょっとする。目配せをされてすぐに驚きを隠した宗平が、頷いた。 「桃李紐は大名家にも献上をされているだろう。他国への流通もあるが、又七殿は他国へも商いに出られるのか」 「又七殿なんて、くすぐってぇ。又七って呼んでくんなせぇよ。あいにく、他国にはさっきの宿場町から出る船に乗せて行くんで、行ったことは無ぇんでさ」 「なるほど、それなら我らの名を告げても、わからないだろう。今は、平素の名だけを語り置いておかせてくれないか」  宗平の失言を、さらりと丸めた孝明の博識にこっそりと耳元に顔を寄せて問う。 「孝明は、桃李紐がどのようなものかを知っていたのか」 「どの里で作られ、どのように他国に運ばれているのかもな」  驚きに目を見張る宗平に、ふふと笑った孝明が焔の首に手を伸ばし撫でる。どうして知っているのかと問うことをさりげなく拒絶され、少しの不満と何時もの事だと納得する気持ちの両方を浮かべた宗平は、飽くことなく周囲を見回している汀の姿に頬を緩めた。 「そんなに見回して、何か面白いものでもあるのか」 「こんなに、荷物が道を行くんだな!」  声を弾ませる汀の姿に、又七が目じりを和らげ声をかける。     
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