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「なるほど、そうか。そんな説明をしたか――孝明は、よほどに宗平を気に入ったらしいな」  大笑する長親に眉根を寄せながら片目を眇(すが)める宗平が、手を伸ばして汀の腕を掴み抱き上げた。 「何が、おかしい」  宗平に抱き上げられた汀は、二人の顔を見比べてから妙な空気を感じ取ったらしく、宗平の首に腕を回してしがみつき、疑わしそうに長親を見た。 「ああ、そんなに警戒をしなくてもいい。そうか、はは――いや、すまん。孝明が人か、そうか――――そうだな、人だな。人の姿をしているな」  何度も頷いた長親が、息を吸いこむと同時に笑みを消して宗平を見た。 「あれを、人でいさせたいと思うのなら私と共に来い、宗平」  手を差し出され、手のひらと長親の顔を見比べた宗平は顎で背後の部屋を示した。 「とりあえず、話は上がってからにしようぜ。茶も、もうすぐ運ばれてくるだろうしな」  長親に背を向けて、宗平は汀を抱き上げたまま部屋に上がる。それに、長親が観察するような目を向けて従った。  向かい合わせに――自然と長親を上座にして座れば、ほどなくして茶と茶菓子が運ばれてきた。ほっこりとした蒸まんじゅうに、汀が喜色を浮かべる。 「孝明は、そう説明をしただけでここを去ったのか――? 何か、してみせはしなかったか」     
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