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「ヒョウタンの中の水を回して、ヒョウタンの尻を回しているのか。なるほど、なるほど」  原理はわかるが仕組みが分からないらしい宗平は、感心しながらも眉間にしわを寄せている。持ち上げていた水を下した孝明が、こういうことが出来るから汀は孝明の事を法師だと思っているのだと言った。 「なるほど。法力のようなものか」 「法の力を使っている気はないが、まあ、そう思うのが納得をしやすいだろうな」 「便利そうな力だな。重い荷物でも、ひょいと軽く運べるんじゃないか。旅で必要な水も浮かせて運べば、水場を探す苦労も無いだろう」 「そんな便利なものじゃあ無い。眠っている間も維持をするということは、出来ないからな」 「気を失っても、いかんということか」 「そういうことだ。常に気を張っていなければ、安定をさせられない」 「それは、疲れそうだな」 「けっこう、疲れるな」  ぐるんぐるんとヒョウタンを回す汀に、二人の大人が目を向ける。 「汀。あまりそうしていると、どっと疲れが出るぞ」 「もっと、早く自在に操れるようになりたい」 「そうか」  強いて止めることもせず、楽しげにしている汀から草を食む焔へと目を移した孝明に、宗平が声をかけた。 「あの馬は、いい尻をしているな」 「なんだ。人より馬のほうが好みか」     
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