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 寝転がればふわふわとして心地のよさそうな雲が、ぽかりぽかりと空に浮かんでいる。それは、孝明ら一行と同じように、ゆったりのんびりと進んでいた。  うららかな昼下がり。最高の昼寝日和と言えそうな陽だまりの中を、汀は焔の上で眠りながら、宗平は時折あくびをしながら、孝明は――いつもと変わらぬ様相で、街道を進んでいる。  無人の村の一件から、竜の根付はあまり人の目に触れてはいけないと汀は思ったらしく、懐にヒョウタンごと入れて歩くようになった。けれど、大きなヒョウタンを懐に押し込んで抱えていれば、大切なものを持っていると示しているようなものだぞと宗平に言われ、他に方法が思いつかない汀が唇を尖らせるのに、孝明は根付を首から下げられるようにし、そうして懐に隠せばいいと提案した。ヒョウタンは、腰に括り付けておけばいい。中には煌めく細石が入っているが、外から見ればただのヒョウタンでしか無いのだから、ヒョウタン自身は隠す必要も無いだろうと言われ、さっそく汀はそうすることにした。     
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