第一章

1/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

第一章

 暗い下水トンネルに、制服を来た二人の男が入って行く。トンネルの奥からは、何やら微かにうめき声の様なものが聞こえて来る。二人は顔を見合わせ、ホルスターから銃を抜いて慎重に奥に進んでいく。  と、突然漆黒の闇を裂いて稲妻のようなビームが走り、一人の男の身体を貫いた。倒れる以前に、既に絶命している事が明らかに解る。「わっ…わわっ!」声にならない悲鳴を上げて、もう一人が出口に向かって走りだす。背後から迫る奇怪な物音。光はすぐそこに見えていると言うのに、なかなか出口にたどり着かない、と、もうすぐ出口だと言うのに、思わず男は後ろを振り返ってしまった。  恐怖に目を見開く男。そこに向かって、すぐ後ろまで迫っていた異形の怪物が、細長い口から黄色い液体を吹き掛ける。「ぎゃあああっ!」断末魔の悲鳴を上げながら顔を掻きむしる男。その身体が見る見るうちにドロドロに溶けて…。  「あーもう!何で俺たちの苦労も知らないで、何でこう言う番組を作るかなぁ!」俺は休憩ラウンジにあるモニターを見ながら、思わず毒づいた。     
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!