第一章

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 「これさえあれば、もう心配は要りまへん。皆さんの仕事もたいがい楽になりまっせぇ。」ホリカワ隊員は自信満々に言うと、傍らに置かれた物体に被せられた白い布を剥ぎ取った。そこには、大人の半分ほどの背丈がある、白いロボットが置かれて居た。「はい、これが地球防衛隊科学班が、精魂込めて皆様のために作り上げた万能偵察ロボット、名付けて『ポッピー君』です!さあポッピー君、皆さんにご挨拶しなさい。」  「初めまして、僕、ポッピーです。」全く機械であることを感じさせない、流暢な日本語で挨拶するロボット。腰を曲げてお辞儀をする動きも滑らかで、なるほどホリカワ隊員が自信作と自慢するだけの事はある。だけの事はあるのだが…いや、これは言わないでおこう。  ふと気になって、隣の平野隊員の表情を覗きこむ、と、およそ何であれ自分より小さいものにはまずカワイイ、を連発する彼女が、珍しく無表情のまま、唇を真一文字に結んでいる。うん、どうやら自分の直感は間違っていないらしい。俺は妙に安心した。  と言う事で、とりあえず出動要請のあった班から、ポッピー君を試験運用する事になったのだが…。
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