第二章

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 と言う訳で、我々はいま、某県の中核都市にやって来ている。前回ポッピー君を悲劇が見舞った場所からは、直線距離にして50キロほど南に離れた場所だ。ここで、三日ほど前から下水のマンホールが不自然に振動したり、何か唸り声の様なものが聞こえるという。まさに、あのドラマのシチュエーションそのものである。  俺たちは下水道処理施設に仮の拠点を作り、二体のポッピー君をローバーから降ろして計画を説明した。「ええか、危険を感じたら、無理せんと直ぐに戻って来るんやで。」優しく語りかけるホリカワ隊員、本当に、この人は心から自分の作ったロボットを愛しているのだな、と言うことが態度からも解る。  「わかりました。」そう言って人間そっくりの仕草で地下に通じる階段を降りて行ったポッピー君たちだったが…。  「ポッピィー!何があったんやー!」一体が激しく損傷したもう一体を抱きかかえて帰還した瞬間、ホリカワ隊員は明らかに取り乱していた。外見上、無事に見える方も制御ソフトに深刻なダメージを抱えているらしく、出発時のようなコミュニケーションが取れなくなっている。  これはもはや笑い事では無い、俺たちを含めた現場の空気が一気に張り詰めた。直ちに市内に避難命令が下され、俺たちはそのまま厳重な警戒態勢を敷くこととなった。     
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