0人が本棚に入れています
本棚に追加
第三章
いまやホリカワ隊員は、傍目でも気の毒なほど憔悴し切っていた。執念の探索により、ポッピー君が二体とも、まだ破壊されていない事までは突き止めることが出来た。位置が刻々と変化している事からも、機能面も正常である事が伺われる。
では、なぜ彼らはプログラム通りに戻って来ないのだろう。それだけではない、謎はまだある。消息を断ってからの経過時間を考えると、とっくに活動限界時間は過ぎているのだが、ポッピー君達は相変わらず活発に動きまわっているようだ。何か、根本的におかしな事が起こり始めている。
重なり合う謎、それが解ける瞬間は唐突に訪れた。
「ここだ。」数学センパイがローバーを停止させる。俺とガンテツ、そしてホリカワ隊員が周囲を警戒しつつ、後部ハッチから地上に降り立った。そこは浄化水が川と合流する地点で、やや広まった場所である。
最初のコメントを投稿しよう!