「思い出」

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「はぁ……せっかくの休日だってのにこんな雨の降り方のせいで気分落ちちゃったなー」 ため息をはきながらカーテンを開けて空を見る。 「雅城のばーか、もう待ってあげないんだから……」 枕元に置いてあったスマホを開くとあの人からメッセージが届いていた。 ‘起きてる?今日は雨降ってるし風も強いから心配でさ’ “今起きた。おはよう、大丈夫だよ” 雅城が消えたあの日からずっと私のそばで支えてくれた人。 先月その彼にプロポーズをされたのだ。 雅城のことが忘れられないままプロポーズを受けても良いものかと迷っていたが、それでもいいと言ってくれた。 彼の優しさに甘えてしまう私はなんてずるい人間なんだろう。 ‘ならよかった’ “ありがとね” 「式は来週かぁ……」 言っちゃいけない。 思ってはいけない。 「雅城と……あげ、たかったなぁ」 あぁ、私は最低だ。 瞳からこぼれ落ちる涙が頬をつたう。 いつの間にか雨は上がり雲間から光が差し込んでいた。 少し明るくなった部屋で私は一人涙を流しながら外を見ていた。
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