花に雨、私にあなた

４

「あっ！」

彼が急に叫んだ。

「気づかなかった！だからいつも雨なのか!?」

「レン、

考えすぎ」

「あの親父！勝手に死んだだけでなくこんなとこでも迷惑かけやがって！」

彼のお父さんは私たちが子供の頃に事故で亡くなった。

レンは、

お父さんがほとんど家に居なかった事で寂しい思いをしたからこんな言い方になってしまうのだろう。

本当はもっとお父さんと一緒に居たかっただろう。

でも私は、

お父さんの顔や声をちゃんと覚えている彼が羨ましい。

「私はレンの名前、

好き」

言うと、

今度は彼が赤くなった。

私は思わず笑ってしまう。