51人が本棚に入れています
本棚に追加
「笑うなよ」
照れ隠しに怒ってみせる彼が可愛らしくて微笑んだ。
「私…雨も大好き」
あなたも大好き。
心の中だけでそっと呟く。
すると彼は思い出したように言う。
「そうだな…二人で桜を見たあの日、
雨に降られてサラはここに来た」
「…うん」
「もし雨が降らなかったら、
サラはあのまま家に帰ってしまって俺たちは何もなかったのかな?」
彼の目が悪戯っぽく笑っていた。
「わからない、
そんなの…」
顔が熱くなり俯くと、
彼の長い指が顎にかかる。
顔を上向けられ眼を閉じると唇が重なり、
暫くの間そうしていた。
「…サラを見せて」
唇を離し彼が囁いた。
最初のコメントを投稿しよう!