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それまでは大好きでも恥ずかしいとか怖いという気持ちが先に立っていたのだが、 その時は何も考えず夢中で抱かれた。 終わって初めて羞恥心に襲われ、 彼と顔を合わせられず後ろを向いていた。 てっきり機嫌を損ねたと思って彼はかなり困ったらしいが、 単に恥ずかしがっているとわかると笑って背中から抱きしめていた。 ―俺と結婚してください。 急に言われた時は驚いた。 だがいつも冷静な彼の声が少し震えているのがわかると、 逆にこちらは落ち着いてきた。 長い付き合いで相手の事は何でも解っているし、 彼以外の誰かと結婚するつもりなどない。 ―よろしくお願いします。 そう答えると、 彼は安心したように本当に嬉しそうに笑った。 二人で笑い合っているうちに、 もう一度強く抱きしめられた。
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