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わたしがそう告げると、ユウは一瞬だけ眉を下げて辛そうにも悲しんでいるようにも見える顔になりましたが、元の表情に戻り笑顔を浮かべていました。
「ごめん、何でもないよ。そのあともどう過ごすのか教えて?」
「はい。食事が終わったらボックスでメンテナンスを受けます。」
「うーん。そのボックスっていうのは、何なの?」
「ボックスはメンテナンスを受ける部屋のことで、先生に指示されたボックスで検査を受けています」
「ボックスに、メンテナンスか…その検査って辛くはないの?」
「あまり好きではありませんが辛くはないです。先生の言うことをきいて、いい子にしていればすぐに終わりますから」
わたしがそこまで話すと、ユウはまた考え込んでしまいました。
ユウを見ていて気付いたことは、ユウは考え込む時口に手をやって眉と眉の間をぎゅっとさせる癖があることぐらいです。
同時に、その癖以外に、わたしはユウのことをほとんど知らないのだということにも気付かされ、途端にもっとユウのことを知りたいと思いました。
「ユウ、わたしからユウにも質問してもいいですか?」
「僕に答えられることなら、いいよ」
わたしからの言葉に、ユウはこちらに向き直り、姿勢を正しました。
拒まれなくて良かった、と安堵します。
それから何を質問しようかと思い浮かべますが、考えれば考える程、聞きたいことはかえってまとまりません。そうなると今度は、早く質問しないと…と次第に焦ってきます。
自分からユウのことを知りないと言ったのに、何を聞こうかと質問が出てこないで途方にくれていると、見かねたユウが助け舟を出してくれました。。
「質問を一つにしようと思わなくていいから、焦らなくていいよ?」
言葉に甘えて、じっくりと考えることにします。
ゆっくり考えていると、ずっと気になっていたことを思い出します。わたしはそれを質問することにしました。
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