18.両神相い搏ち、合して形と成る 『霊枢』決気篇より(R)

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ーーーーーーーーーーーー 福岡 pm12:30 太陽の光が、厳しい夏になった。 そんな暑苦しい職員室に、1人 小花を撒き散らし爽やかな風を振りまく男がいる。 その男の名は……言わなくても分かると思うが、一応言っておこう。 男の名は安斎行人である。 職場では無表情でいることが大半であったが、最近では微笑むことが増えて話しやすくなったと評判だ。 「安斎先生、最近なんか良いことがあったんですか?」 そう聞いたのは、久しぶりの登場、東先生である。 「いいえ、特には…」 ポーカーフェイスを決め込んで、彼はパソコンに向かう。 「ちょっとーいいことあったんでしょ?教えて下さいよー!!俺と先生との仲じゃないですかー!」 しかし、東先生も諦めない。彼の背後から肩を掴んで左右に揺れ「ねぇ、ねぇ!」と執念で迫る。 「 ……… 」 (アキと寝たなんて…この人には、死んでも言えない!) 行人はカタカタとパソコンに向かいながら、頭を悩ませる。 「実は、宝くじが当たりました」 (面倒だ、適当に放り込んでおけ…) 「えぇ!マジですか?いくら、いくら?」 「えぇーと、10万…」 「オォースゲー!なんか奢って下さいよ~!」 「分かりました、じゃあ今度…」 早く話を終わらせたくて、椅子から立ち上がり職員室から出たが、東先生も付いてきた。 「先生~何食べに行きます?」 彼は全く話を終わらせる様子はない。 (くそ、困った…) 行人がいる学校は職員室を出ると、エントランスにつながり、玄関となる。 「あぁ…、もう、先生が食べたいものでいいですよ」と適当に言葉を返していると、 「……!!」 行人は玄関先から発せられる 空気の振動にビクつき、振り向いた。 東先生も、「何事?」と振り返る。 振り返った先には、真夏に似合わない黒いスーツに、サングラスをかけた角刈りの大男が立っており、校内に入ってきた。 「あゎゎ…」と東先生は若干腰を抜かしながら行人の背中に隠れた。 東先生の恐怖をよそに、その男は行人に近づいて来る。 「安斎先生、やばいですよ、早く逃げましょう!」 東先生はコソコソと後ろから行人に話しかける。 しかし行人の声は明るかった。 「あ、東先生、大丈夫です。あの人 俺の父親です」 「…父親? と、父さんーッ!?」 東先生はドスンと尻餅をつくと、本当に腰を抜かした。
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