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恭介さんは、溢れる滝のように饒舌に語り出した。
「 omega のヒートの薬が完成したお陰で、国も気分を良くしてな、来年度から部門の予算を上げてくれると言うことになったよ
しかしあの薬は、まだ完璧ではないところがある
それは運命の番の前では “効果が薄れる” ということが報告で上がっている
まぁ、番の前だから良いとは思うのだが、妊娠など、望まないことがあるときには厳しいものがある
そっちの研究も引き続きしていくのは当たり前なんだが…
我々は “新たな研究” をスタートさせる予定だ 」
「新たな研究?」
恭介さんはニヤリと笑った。いつも笑わないから逆に怖い。
「お前は “alpha” を完璧な人種だと思うか?」
「は?」
人間には3種の人間がおり、alpha はその頂点に君臨する有能で完璧な人間であると、小さい頃から刷り込まれて来た。
(恭介さんは、一体何を言っているんだ?)
「完璧だろう? そんなの、当たり前じゃないか」
恭介さんが「フッ」と鼻で笑った。
「 じゃあ、お前は完璧なんだな? 」
「いや、俺は完璧じゃないけど…」
何だか恥ずかしくなって口ごもってしまった。
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