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すると恭介さんは手を開き、俺に手を見せた。
「 私は考えたんだよ。通常、手の平には指が5本生えているのが普通。
これが6本、もしくは4本の場合は異端と考えられる。まさにそれは病となるだろう? 」
「……そうだね」
「 3種で、もっとも多いのは “beta” だ。
彼等は、ヒートに苦しむこともなく、香りによって我を忘れる事もない。
常に“普通” がそこにはある。
彼等こそ、何かが欠けることのない “完璧な人間” とは思わないか? 」
恭介さんの話を聞きながら、心臓が妙に早くなったことを感じた。
そうだ、あの時普通にアキを抱けたら、俺は悲哀を感じる事もなかった。
もしかしたら、今だって、彼は何も言わないけど、傷ついているのではないか…、そんな一抹の不安が残っている。
だから彼の言葉がすんなり理解でき、 脳に浸透した。
「次の研究は、俺たちが、“ 異常 ”だと言うことを証明する、ということ?」
「 あぁ、alpha の異常をきたしているDNAを Genomレベルで探す 」
恭介さんの瞳がキラキラと輝きを放った。
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