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次は要望の膝だ。
膝内側のあたりと大腿四頭筋、あと足三里と言うツボに、鳩尾に行ったような方法をした。
ちなみに足三里と言うツボは胃に効くツボで、年を取ってくると食欲が落ちてくるので、俺のところに来る患者には必ず入れるようにしている。
「はい、じゃあトメさん、次は背中するけん、うつ伏せになって下さい。」
トメさんがベッドから落ちないようにサポートしながら、うつ伏せになってもらう。
背中の上の方から下までくまなく鍼を打っていく。
特に側弯しているところは念入りに鍼を入れた。
鍼をした後は、お灸を行う。
側弯している箇所と腎兪という、お年寄りに効くところにお灸をして、それが終わったらまた仰向きになってもらって、もう一度脈を診る。
ーーこれで一通り終わりだ。
「トメさん~終わりましたよ!」
「あぁー気持ち良かった~若先生の手は大先生と同じ手にやってきたごたー、ピシャっとツボに入りよるのが分かるばい!」
トメさんは来るたびに この言葉を言ってくれる。
「ほんとですか?嬉しかー!」
俺もいつも通りの言葉で返す。
でも実際毎回言われても嬉しい言葉なのである。
治療は40分くらいで金額は2000円。
昔は、父が3000円貰う代わりに、俺だと安いようになっていた。父がいない今、金額を上げてもいいのだが、なんだか上げられなくている。
まぁ、おじいちゃんやおばあちゃんの笑顔を見れればいいかなって思うし、1日患者さんが1人が2人で、ちょっとやっていけない月もあるので、恥ずかしながらコンビニでバイトも、行なっている。
「お大事にどうぞー」
次の予約を入れて、トメさんは帰って行った。
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「ふぅー」
カルテを書いて、ちょっと落ちついた頃だった。
駐車場に勢いよく乗用車が乗り込んで来た。
ーーピンポーン!!
そして玄関のチャイムが鳴って勢いよく扉が開いた。
「アキーッ!私ー!!」
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