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颯爽と長髪をなびかせながらやって来たのは佐藤夏、俺の姉だ。
顔はぱっちり二重に小さい口で可愛い顔だと思うのだが、性格はサバサバして、すぐに決断、行動する姿は俺より男っぽい気がする。
今日はトレーナーにジーパンとラフな姿だ。
「うわっ! 珍し! 今日 患者来とるやん!」
姉ちゃんの方が訛りがきつい。
患者さんが来ていたことをお灸の匂いで気づいたようた。
「珍しいって…まぁ、そうなんやけど…」
姉にはいつも頭が上がらない。
6つ上ということもあり、生まれた時から彼女は俺のお手本で、世話をよくしてもらっていた。
あと容赦なく飛んでくる無茶振りに対応させられるわ、姉に下着の買い物に付き合わされるわ、風呂上がりは全裸だわで、女性に対する免疫は姉にバッチリ付けられたような気がする。
だからか、女性との会話を気負わず聞けるのは姉のお陰だと思う。
「はい、いつもの。」
姉は俺に1つのビニール袋を渡した。その中には小袋があり、錠剤の薬が入っている。
これを渡す時、彼女はいつも辛そうな、悲しそうな顔をする。
「…ありがとうね」
姉がそんな顔するから俺は微笑んでそれをもらう。
彼女が気を病むのを少しでも軽減したくて。
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