第4章.君との距離感

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祥悟は、姉の里沙との双子キャラがウケて、その後ますます人気のモデルになっていった。 雑誌やショーだけでなく、テレビ番組からのオファーも舞い込んできたが、事務所の社長は双子をタレントとして売り出すことには、あまり乗り気ではなかった。 それはおそらく、双子の出自の問題だ。テレビに顔を出すようになって、必要以上に派手な活躍をするようになると、彼らの過去をいたずらに暴こうとする者も出てくるだろう。施設育ちの彼らのそれ以前の過去については、社長と彼ら以外は事務所の誰も知らないトップシークレットだった。もちろん、智也も詳しいことは知らない。 多忙を極める祥悟との付き合いは、たまの休みに祥悟の方から気紛れに連絡が来て、細々とだが続いていた。 月に1~2度会える時もあったが、スケジュールによっては1ヶ月以上まるまる会えない時もあった。 会う度に、祥悟は更に垢抜けて美しくなっていた。まだ少年っぽさが残っていた顔つきも少しずつ大人びてきて、表情や仕草にも艶が増していく。 そんな彼の成長を、智也はいつも眩しい思いで見守っていた。 封じ込めた彼への想いは、会う度に募っていったが、おくびにも出さずに物分りのいい兄貴役を続けていた。 そんなある日。 仕事を終えた智也の携帯電話に、祥悟からの着信があった。
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