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智也はのめり込みたい衝動をぐっと押し殺して、代わりに彼の細い手首をぎゅっと握り締めた。
口付けをいったん解き、濡れた唇を舌でなぞる。
「ん……っは……ぁ」
祥悟はうっとりと息継ぎをして、とろりと潤んだ瞳を揺らした。
「ふふ……。やっぱおまえのキス、気持ちいいよね」
満足そうに鼻を鳴らすと、ほっそりとした腕を伸ばして、首の後ろに絡めてきた。
「も、おしまいかよ?」
小首を傾げて先をねだる、そのちょっと生意気な仕草が、小憎らしいのに愛おしい。
君が好きだと、今打ち明けたら、彼はどんな顔をするのだろう。
「君の方が、もう俺より上手だよ」
掠れた声で囁くと、祥悟は首を竦めて
「そっか? 自分じゃわかんねーし。俺はおまえのキスの方が感じるけど」
言いながら首の後ろに絡めた手に力を込めてきた。ぐいっと引き寄せられて、鼻と鼻がぶつかりそうになる。
祥悟が舌を出して、誘うようにこちらの唇をちろちろと舐めてきた。
ずきんっと下腹に甘い痺れが走る。智也は細く息を吐き出すと、差し出された甘い舌を唇でそっと包んだ。
ちゅぷちゅぷと音をたてて、柔らかい蜜を舐る。
「ん……ん……ぅ……んぅ……」
祥悟の鼻から漏れる声に、どんどん艶が増していく。
智也はゆっくりと舌を絡めた。キスがぐっと深くなる。繋がっている場所が熱く蕩けて混じり合っていきそうだ。腰に何度も甘い熱が走り抜けて、のしかかっている彼の身体に、薄い布越しに自分の熱が当たりそうになる。
智也は舌を絡めたまま腹筋に力を入れて、ぶら下がる祥悟の身体ごと起き上がった。すかさず細い腰に両手を回し、抱き締める。
祥悟は一瞬、驚いたように目を開いたが、またうっとりと目蓋を閉じた。
薄目を開けて彼の表情を窺う。
目蓋を縁取る長い睫毛が微かに震えている。
……綺麗だ……。
眠れぬ夜に妄想したよりも、数倍美しい生身の天使がそこにいる。さっきからひっきりなしに走り抜ける甘い衝動に、我を忘れて酔いしれたくなる。
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