第6章.甘美な拷問

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智也はごくっと唾を飲み込むと、少しゆるめた自分の指を、そっと動かしてみた。 寄り添う2つの熱が擦れ合う。その感触と視覚的な刺激が堪らない。 智也は荒くなりそうな息を必死に飲み込みながら、ゆるゆると擦り始めた。 的確にいい所を擦るいつもの行為より、それはもどかしい刺激なはずなのに、ひっきりなしに押し寄せてくる快感の波に、腰が勝手に揺れてしまう。尻の皮膚が内腿の皮膚が、引き攣るくらい気持ちよくて、呻き声をあげてしまいそうだ。 「んんぅ……ん……ん……」 そっと顔を窺うと、祥悟は形のいい眉をきゅっと寄せて、引き結んだ唇から低い喘ぎを漏らしている。自分と同じように、祥悟が感じてくれている。同じ悦楽の波を一緒に漂っている。 そう感じるだけで、震えるほど嬉しい。 2つの昂りを合わせて、同じ頂を目指す。 手の中ではち切れそうに膨張したそれは、鈴口からとろりとした蜜を溢れさせていた。それが濡れ広がって、くちゅくちゅといやらしい水音をたてる。 「あ……あぁ……ああっ……ぁ……」 祥悟の腰の揺れが、自分と同じリズムを刻んでいた。喘ぐ声にも切羽詰まった甘さが増していく。 ……もう、無理だ。出る……っ 智也がぎゅっと目を瞑り、意識を全て集中させようとした時、握る自分の手に祥悟の手が重なった。はっとして目を見開くと、蕩けそうな表情の祥悟がうっとりとこちらを見ていた。 「んっはぁ……手、俺も……っ」 智也はすかさず手を離し、祥悟の手のひらでそれを包むようにして上から手を重ね合わせた。 祥悟の手が、直接自分にふれている。 ……ああ……っすごい……っ 智也は堪えきれずに大きく喘ぐと、祥悟の手ごと動きを速めてラストスパートをかけた。 「……っくぅっ」 「んぁ……っあ……っ」 ぶわっと身体が宙に浮いた気がした。全身の毛穴が一気に開き、一瞬、目の前が真っ白に染まる。 ほぼ同時にのぼりつめ、膨らんだ先端が弾けて灼熱が迸る。 ……っ。溶けるっっ 身体も意識もどろどろに溶けて、噴き出す白濁と一緒に溶けて流れていきそうだった。 がくがくと痙攣して仰け反り、後ろに倒れ込みそうになる祥悟の身体を、咄嗟に掴んで強く抱き締めた。
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