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……そんなこと、思うはずないじゃないか。君を嫌ったりなんか絶対にしない。
好きだから……好きだからこそ、こんなにも……辛いのに。
哀しげな目。寂しげな声。
思わず駆け寄って、抱き締めたくなる。
……祥悟が自分にそんなことを、望んでいないのはわかっているが。
「ばかだな。君を嫌いになったりしないよ、祥」
智也がそう言って微笑んでみせると、祥悟は探るような目でこちらを見て、何故か不機嫌そうに眉を顰めた。
「おまえってさ、すっげーお人好し。今回の件、あんま深く関わってるとさ、おまえまで社長の心象悪くなんじゃねーの?」
「それは、心配要らないよ。もともとあの社長からは、俺は良くも悪くも思われていないからね」
智也がそう言って首を竦めると、祥悟はますます不機嫌そうに鼻を鳴らした。
「あのおっさん、人見る目ねえし。あーぁ。めんどくさいな。怪我治ったらまた、思いっきり説教されるんだぜ。里沙のことがなかったらさ、俺、あの事務所いつ辞めても全然いいのにな」
祥悟はそう言って唇を尖らせると、もうすっかり冷めてしまっただろう紅茶を、ひと口啜った。
……里沙……。そうだ。
祥悟の言葉で思い出した。彼女からの電話のことを、まだ伝えていなかった。
「そうだ。祥。里沙から電話をもらったんだよ。君と直接連絡が取れないって、彼女、ものすごく心配していた」
祥悟はカップを置いて
「ふーん。なんて言ってた? あいつ」
「周りが口止めしてるみたいでね、詳しい事情は知らないようだったな。ただ、何か問題が起きたみたいだけど、事情を知らないか?って」
「そっか……。聞いてないんだ? あいつ」
「俺から話すのもどうかと思ったから、君から電話させるって言っておいたんだ。きっとすごく心配しているよ。電話してあげた方がいい」
祥悟は気乗り薄な顔になり、こちらを見て首を竦めた。
「携帯さ。社長んとこに置いてきちまったし。おまえが電話して説明してやってよ」
「それはダメだよ、祥。彼女、きっと納得しないだろう? 俺の携帯を貸してあげるから、直接、君が話した方がいい」
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