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昨夜はやはり慣れない場所での独り寝で、ゆっくり熟睡出来なかったのだろう。
祥悟はすぐにすよすよと、気持ちよさげな寝息をたて始めた。
眠るという1番無防備な行為で、何の抵抗もなく自分の腕の中に包まれてくれる祥悟の、絶対的な信頼が嬉しくてせつない。
規則正しく微かに上下する、腕の中の愛しい存在。自分と同じ形の愛情を望めば、この大切な温もりは、もうこの腕の中には戻ってこないだろう。
どれほど深く愛を注いだからといって、同じ愛を返してくれるわけじゃない。欲しがりの自分のわがままを、祥悟に押し付けてはいけないのだ。
……やっぱり俺は、君が好きだよ、祥。でも、だからこそ、俺は君から離れてみようと思う。君が俺に望むこの無邪気な距離感を、守り続ける為に。君が俺に寄せてくれる信頼を、壊さない為に。
※次章は「ガラス越しの想い」です
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