硝子越しの想い2

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「何かあってさ、来られねえの、仕方ないけどさ。電話1本は寄越せよな」 「祥」 「何かあったのか、とかさ、いろいろ考えちまうじゃん」 無表情に淡々とした口調で言われて、それがかえって酷く堪えた。智也は顔を歪め 「うん。そうだよね。本当に……すまなかった。電話するべきだったね」 祥悟は頬杖をやめて椅子から立ち上がると 「そーゆー辛気臭い面すんなっつーの。めんどくせえし。それより飯食えば?」 「あ……ああ。祥、君は本当に食べないのかい?」 リビングの方に行きかけた祥悟が振り返った。 「食ってやるよ。あっためてくれば?」 首を竦めて戻って来て、今度は瑞希の向かい側の椅子に腰をおろした。 「あ。ああ。待ってて」 智也がキッチンに向かおうとすると、瑞希が慌てて腰を浮かし 「あ、智くん。僕も何か手伝う」 「いいよ、瑞希くん、座ってて」 智也は瑞希に手を振ると、急いでキッチンに向かった。 オーブントースターで軽く焼いたクロワッサンと紅茶で、3人並んで遅い朝食を取る。 「おまえさ、今、高校生?」 「うん。今年卒業です」 「ふうん。大学進学すんの?」 「ううん。僕、他にやりたいことがあるから」 「やりたいこと? 何さ」 「え。内緒。恥ずかしいから」 最初は誰も口をきかず、気まずい沈黙が流れていたが、ふいに祥悟が瑞希に話しかけ始めた。人懐っこい瑞希が嬉しそうにそれに答え、その場の雰囲気が一気に和む。 祥悟はどうやら、初対面の瑞希が気に入ったらしい。基本的に他人には一切興味を示さない彼が、珍しく瑞希には次々と質問を投げかけている。 智也は2人のやり取りを黙って見守りながら、内心ほっと胸を撫で下ろしていた。
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