硝子越しの想い2

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智也は固く目を瞑ったまま、空いている方の手で、瑞季の身体をまさぐった。 肉の薄いほっそりした身体。 肩も胸も折れそうに細い。 でも、自分が求めているのは、肉感的な女の身体じゃない。自分はやはりゲイなのだ。たとえ相手が祥悟じゃなくとも、求めているのは男の身体だ。 ……たとえ……祥悟じゃなくとも……。 また、心の奥で嘆く声がする。 智也は唇を噛み締め、振り払うように首を横に振った。 シャツの前を肌蹴させ、薄い胸板にそっと唇を這わせる。瑞季の肌は、思春期の少年特有の乾いた牧草のような香りがした。 首筋に唇と舌を這わせると、瑞季の身体はぴくんぴくんと微かに震えた。密やかに漏れる喘ぎ声は、甘く掠れてせつなげだ。 身体の奥底から、どうにもならない熱が次々と沸き起こってきて、堪らなくなる。 起伏のない白い胸に、慎ましやかに息づく小さな尖り。色素の薄いそれを、突き出した舌でちょんちょんっとつつくと、瑞季はぴくんっと大きく震えて甘ったるい可愛い声で鳴いた。 頭にかかった白い靄が、思考する力を奪っていく。考えるより、今はただ感じたい。 目の前に捧げられた青い蜜の滴る果実に、ただひたすらのめり込み、溺れていきたかった。 うっすら色づいて、つんと尖り出てきた小さな突起を、歯で甘噛みし唇でしごく。瑞季はここがひどく感じるらしい。 男の子の身体をこれだけ丁寧に愛撫するのは、祥悟を除けば初めてだった。女相手にするよりも、自分が明らかに興奮しているのが分かる。 祥悟に対する片恋の虚しさを持て余し、やるせなさに、ただ人肌の温もりだけでもいいから感じたいと、夜の街に出掛けてみたこともある。 バーでたまたま見かけた好みの男の子とホテルにも行ったが、結局あの時は、キスも出来ずに気まずく別れた。 ……キス……。そうか。キスも、祥以外の男とするの、俺は初めてだ……。 無駄に考える余裕が出てきた頭で、そんなことをぼんやりと思う。 生理的に興奮し、熱を帯びていく身体とは裏腹に、徐々に虚しくなっていく心が嫌だった。 自分が今、抱こうとしているのは、祥悟だ。 そう思い込もうとすればするほど、心が冷たくなって萎えていく。
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