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妙に鋭い指摘をしてこちらを絶句させたくせに、瑞希は無邪気ににこっと笑うと、再び胸に顔をふにふにと擦り寄せてきた。
「僕のことなら気を遣わないでいいんだ。智くんが、僕を抱きたくなったら抱いて欲しいけど。その気にならないなら、自分でするから平気」
「み、瑞希くん、君……」
智也はごくりと唾を飲み込んだ。
目の前の、まだ高校生のはずの従弟の、随分と割り切ったような言動に、頭が混乱してきた。
元彼とのトラブルの相談をしてきた時の第一印象と、今の瑞希は、印象が違いすぎる。
柔らかそうなふわふわの髪質と、大きくて少し垂れ気味な目のせいで、実年齢より幼く見える瑞希は、見た目通りの素直で優しい癒し系の少年だと思っていたのだが……。
「瑞希くん。君……元彼、いや亨くんとは……どんな付き合いだったの?」
あまり詳しく詮索するのも……と、自分から聞くのは遠慮していたのだが、トラブルの内容も内容だったし、さっきの瑞希の発言も、とても高校生のものとは思えない。
瑞希は途端に表情を曇らせた。
……あ。やっぱり聞いちゃいけなかったかな。
智也が慌てて質問を撤回しようとするより前に、瑞希が口を開いた。
「どんなって……。普通だったよ、最初はね。高校入ってすぐに、部活の勧誘で知り合って……僕、写真とかやってみたかったから、亨くんに誘われて写真部に入ったんだ。しばらくは部活の先輩と後輩で……でも、僕が亨くんのこと、すっごい好きになっちゃって」
「瑞希くんは、自分の……その、性的指向って、いつ気づいたんだい? 亨くんを好きになって?」
瑞希はむくっと顔をあげて、首を横に振った。
「ううん。僕、中学の時に先生としたのが初めてかな」
「……っ中学っ? え。先生とっ?」
思わず大きな声が出てしまった。智也は慌てて自分の口を押さえ
「あ……ごめん、つい」
瑞希はこちらを見て苦笑した。
「ううん。驚くよね、普通は。そう、学校の先生と」
「それは……まさか無理やり……かい?」
「んー。無理やりじゃないよ。僕が……先生のことすごく好きになっちゃって。放課後、先生の準備室に毎日通ったんだ」
瑞希はそう言うと、薄く微笑んで遠い目をした。その横顔がちょっとドキッとするほど大人びていて、智也は目が離せなくなった。
……瑞希くん……君……意外すぎるよ……。
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