硝子越しの想い2

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瑞希が身じろぎして、こちらを見上げた。智也はその顔を見ないようにして微笑むと 「俺の想いは、祥悟には重たすぎる。自分でも分かってるんだよ。今までのように側にいれば、俺はそのうち耐えられなくなる。彼に……酷いことをしてしまいそうで……自分が怖いんだ」 「智くん、でも」 「離れてみて、少し頭を冷したいんだよ。あまりにも近くに居すぎて、見えなくなっているのかもしれない。だから」 眉を寄せて何か言いたげに自分を見上げる瑞希に、智也は目を合わせてにこっと笑うと 「君が亨くんと、また落ち着いて会いたいって思える時まででいいんだ。俺の側にいてくれないかな? もちろん、君が嫌がることは絶対にしないよ。ただ……側にいてくれるだけでいい」 「智くん……」 「ダメかな?」 瑞希はふるふると首を振って 「いいよ。智くんが僕のこと、必要って思ってくれるなら、僕は智くん、好きだから、側にいたいし」 智也はほっとして、小さく吐息を漏らすと 「亨くんがまた何か仕掛けてきたら、俺が君の用心棒になるよ。おばさんにはそのことも、伝えるつもりでいるんだ」 瑞希はじわっと目を潤ませた。 「ありがとう、智くん。僕……僕……智くんにそんなこと頼むの、ダメって思ってて……。だからすごく、嬉しい」 智也は瑞希の頭をくしゃっと撫でた。 「うん。じゃあお互いの利害は一致したかな。ありがとう、瑞希くん」 瑞希はくしゃっと泣き笑いの表情を浮かべて、ぎゅっとしがみついてきた。 智也はその華奢な身体をしっかりと抱き締め直すと、ふと脳裏に浮かんだ祥悟の笑顔を、無理やり頭から追い払った。 ※次章は「見えない糸」です*_ _)
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