濡れて艷めく秋の日に

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相変わらず旺盛な食欲で、食後のデザートプレートも一人前には多すぎる量をぺろりと平らげ、祥悟は満足そうに紅茶を飲んでいる。 あの細い身体のどこにあんなに入るのだろうと、改めて感心してしまった。痩せの大食いなのだ、祥悟は。 「今日はこの後、予定はあるのかい?」 聞きたいことは胸の中でとぐろを巻いてモヤモヤしていたが、蒸し返す勇気もなくて無難な質問をしてみた。 「別にないけど。珍しく今日と明日はフリーなんだよね。智也も休み?」 「うん。俺は今日はフリーかな。明日は夜に仕事が入ってるけどね」 「ふーん。じゃ、どっか行く?」 「何処に行きたい?」 祥悟はテーブルに肘をつき、うーん…と小首を傾げ 「……じゃ、おまえん家?」 「え」 「あ。同棲してんだっけ、おまえ。んじゃさ、マンションじゃなくて、あの、じいちゃん家は?」 「え、同棲って、誰が?」 智也が慌てて口を挟むと、祥悟は横目でチロっとこちらを見て 「おまえが。噂になってんじゃん。すげえ美人なんだろ?年上のさ」
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