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「祥悟くんはいつだい?」
「質問してんの、俺」
好奇心にきらめく瞳で、じーっと見つめられて、智也は早々に白旗をあげた。
「……結構遅いよ。19」
祥悟は片眉をあげた。
「へえ。相手、誰?うちの事務所の女?」
「言わないよ、そんなこと」
「今も付き合ってんの?その娘と」
「それも内緒」
祥悟はぷーっと頬をふくらませ
「ちぇー。いいじゃん、そんぐらい教えてくれたってさ」
「どうしてそんなの聞きたがるの?何か悩み事かい?」
祥悟はアイスティーのグラスに手を伸ばして、ごくごく飲むと
「別に、悩み事っつーか。んー……あのさ、誰にも言わねえ?」
祥悟は急に智也ににじり寄ってきて、下からすくうように覗き込んできた。智也は内心どきっとしたが、必死に無表情を保ち
「ああ。誰にも言わないよ」
「ん。じゃあ智也のこと信用する。あのさ、こないだ、ある人に、付き合ってって言われたんだよね」
……え……。
「いろいろ教えてあげるから、私と寝てみない?ってさ」
……え……?
「寝るのは別に構わないんだけどね、相手、歳上だし、俺まだ経験浅いしさ。エッチしてみて下手くそ~とか思われたら、癪に障るじゃん?」
……えーーー?
「智也、さっきのキス、何気にすげえ上手かったし。女歓ばすテクとか、知ってんのかな?ってさ」
智也は絶句して、まじまじと祥悟を見つめた。
「ちょっ、ちょっとストップ。祥悟くん、君、今いくつだっけ?」
祥悟は一瞬ぽかんとしてから、怪訝そうに眉を顰め
「え。こないだ16になったけど?」
……そうだよな。俺より5歳下なんだから、当然だよな。
「その、君にそういうお誘いしてきてるのって、誰?うちの事務所の人?」
祥悟はにやっと笑って
「それは言えない。内緒」
智也は、はぁ~っとため息をつくと
「あのね、祥悟くん。そういう悪いお誘いは、きっぱり断ろうか。相手は多分、だいぶ歳上だろう? 君みたいな子どもにちょっかい出すなんて、ちょっとありえないよ」
祥悟は目を大きく見開くと、しげしげと智也の目を見つめて
「うわぁ……智也ってやっぱさ、お堅いんだね。なんかすっげー期待裏切らない感じ」
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