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祥悟は何故だか、ひどくご機嫌な顔になって、智也にぴたっと身体を擦り寄せてきた。
「もしかしてさ、智也って、結婚前提じゃない相手とは、セックスしませんってタイプ?」
祥悟の体温が、触れている腕から伝わってくる。まるで何かのスイッチが入ったみたいに、さっきのあどけない少年の顔は消えていた。息がかかりそうなほど間近に、ちょっと隠微な色気を滲ませた切れ長の瞳が揺らめいている。
智也は魅入られたように、濡れて揺らめくその瞳を見つめたまま固まった。
「……そういう、わけじゃ、ないよ」
「ふうん……。でも遊びで寝るのは、ダメなんだよね?」
なんだか冷や汗が出てきた。どうしてこの子は、急に変わってしまったんだろう。というか、まるで金縛りに遭ってるみたいな……。
……これって……なんだよ?
「違うよ。そういう、ことじゃなくて、だって君は、まだ子どもじゃないか」
自分の声が妙に掠れていて、遠くから聴こえてくるような、すごく変な感じだ。
「そう?俺、大人だよ? 興奮したらちゃんと勃つし、挿れたら気持ちいいってのも、知ってる。さっき智也とキスした時も……勃ってたよ?」
囁きながら、祥悟の目がどんどん近づいてくる。その淡い綺麗な色の瞳に、吸い込まれそうな気がして、目を逸らしたいのに……動けない。
……ダメだ……。逸らさないと。
「……しょう、ご、くん」
「なに?」
祥悟の形のいい唇の端が、きゅっと釣り上がった。その妖艶な笑みに、ぎゅっと心臓を鷲掴みにされた気がする。
柔らかい唇が、智也の鼻先をすっと掠めた。思わずびくっとしてしまった智也に、祥悟はのしかかるようにして
「ね?智也。さっきの、気持ちいいキス、俺に、教えて?」
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