第1章 舞い降りた君

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ふと、「好きな女はいない」と呟いた時の、祥悟の能面のような表情と、抑揚のない声音を思い出した。 あのひやっとするような違和感は、なんだったのだろう。 いや、その答えを、自分はもう知っているような気がする。 「やっぱり片想い、確定、かな……」 最初から分かっていたことだ。 それでもあの子に惹かれずにはいられなかった。 多分、苦しい恋になるだろう。 でも……祥悟が自分の前に舞い降りてくれたことが、震えるほど嬉しかった。 祥悟が家に来てくれる前と後に、2人の関係に劇的な変化があったわけじゃない。 相変わらず、自分と祥悟は同じモデル事務所の先輩後輩であり、ただ、他の人よりもちょっとプライベートで会う機会が増えた……それだけだった。 第1章ー終ー 次回から第2章「波にも磯にもつかぬ恋」です。
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