247人が本棚に入れています
本棚に追加
祥悟は不貞腐れた顔のまま、ぷいっとそっぽを向くと
「マネージャーから電話掛かってきたんだよね、次の日の撮影時間、変更になったってさ。そしたらあのヒト、ガラッと雰囲気変わっちゃってさ。明日早いからもう寝なくちゃねって、あっさり帰っちゃったんだぜ」
……それは……酷いな。その気にさせといて、それはないよね。
完全に彼女と寝たんだと思っていたから、祥悟に同情しつつも、智也の心はさっきより弾んでいた。
……現金だよなぁ……俺。
「そっか。キスだけで逃げられたのか。それは残念だったね」
ほっとして思わず呟いてしまった智也を、祥悟はきっと睨みつけて
「うわ。なんかすっげームカつく。なにその嬉しそうな顔」
「してないよ、嬉しそうな顔なんか」
「ちぇ。自分は最後までヤれたからってさ。ドヤ顔すんな」
「だから、してないって。言い掛かりだよ、それ」
祥悟はぷりぷり怒って、智也の手を振りほどくと
「ふん。邪魔入っただけだし? 次のチャンスは逃さねえもん。絶対に最後までしてやるし」
「やり方、知ってるのかい?」
「は?」
「キスより先。女の子の抱き方だよ」
祥悟はまじまじと智也を見つめて片眉をあげ
「おまえ、バカにしてんだろ」
「してないよ。兄貴として心配してるだけ」
「兄貴……。そっか。智也って兄さん2人いるんだっけ。 ね、そういうのってさ、やっぱ兄貴から教えてもらったりすんの?」
……いや、普通しないから。兄貴たちとそんな話、俺、したことないし。でも……
智也は好奇心いっぱいな祥悟の顔を、じっと見つめた。
……どうしよう。こんな無邪気な顔見てると……つい邪な考えが浮かんでしまう。いや、だめだ。止めておけって。
でも……。
さっき、惟杏さんと祥悟がベッドで絡み合ってるシーンを、かなりリアルに想像してしまって落ち込んでいた反動が……。
「教えてあげようか?女の子の……悦ばせ方」
最初のコメントを投稿しよう!