第2章 波にも磯にもつかぬ恋

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祥悟は不貞腐れた顔のまま、ぷいっとそっぽを向くと 「マネージャーから電話掛かってきたんだよね、次の日の撮影時間、変更になったってさ。そしたらあのヒト、ガラッと雰囲気変わっちゃってさ。明日早いからもう寝なくちゃねって、あっさり帰っちゃったんだぜ」 ……それは……酷いな。その気にさせといて、それはないよね。 完全に彼女と寝たんだと思っていたから、祥悟に同情しつつも、智也の心はさっきより弾んでいた。 ……現金だよなぁ……俺。 「そっか。キスだけで逃げられたのか。それは残念だったね」 ほっとして思わず呟いてしまった智也を、祥悟はきっと睨みつけて 「うわ。なんかすっげームカつく。なにその嬉しそうな顔」 「してないよ、嬉しそうな顔なんか」 「ちぇ。自分は最後までヤれたからってさ。ドヤ顔すんな」 「だから、してないって。言い掛かりだよ、それ」 祥悟はぷりぷり怒って、智也の手を振りほどくと 「ふん。邪魔入っただけだし? 次のチャンスは逃さねえもん。絶対に最後までしてやるし」 「やり方、知ってるのかい?」 「は?」 「キスより先。女の子の抱き方だよ」 祥悟はまじまじと智也を見つめて片眉をあげ 「おまえ、バカにしてんだろ」 「してないよ。兄貴として心配してるだけ」 「兄貴……。そっか。智也って兄さん2人いるんだっけ。 ね、そういうのってさ、やっぱ兄貴から教えてもらったりすんの?」 ……いや、普通しないから。兄貴たちとそんな話、俺、したことないし。でも…… 智也は好奇心いっぱいな祥悟の顔を、じっと見つめた。 ……どうしよう。こんな無邪気な顔見てると……つい邪な考えが浮かんでしまう。いや、だめだ。止めておけって。 でも……。 さっき、惟杏さんと祥悟がベッドで絡み合ってるシーンを、かなりリアルに想像してしまって落ち込んでいた反動が……。 「教えてあげようか?女の子の……悦ばせ方」
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