第2章 波にも磯にもつかぬ恋

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「変な感じに、なってきた?」 「んっ……やめ……んぁ」 「ふふ。いい声出てるね」 揶揄われるのが悔しいのか、祥悟はきゅっと口を引き結んだ。でも、漏れ出る声を必死に押し殺している表情は、余計に可愛くてそそられてしまう。 ……俺ってもしかして、結構Sっ気あるのかな。 Sで女王様気質はむしろ祥悟の方だと思っていたけれど、意外と逆だったりして。 「……服っ脱ぐ、んだろっ。いつまで、やってんだよ……っ」 しつこくいじめ続けると、とうとう祥悟が怒り出した。シャツをぎゅっと握り締めながら、上目遣いにこちらを睨む目が、少し潤んでいる。 「あ。ごめんごめん」 智也は名残惜しげに手を離すと、パンツのホックを外した。そのままファスナーをおろしてやろうとした手を、祥悟ががしっと掴む。 「自分で、する」 祥悟の目が完全に怒っている。ちょっと調子に乗りすぎたらしい。智也は素直に手を離すと、くるっと祥悟に背を向けて、自分も服を脱ぎ始めた。 正直、一緒にシャワーを浴びるなんて、祥悟が許すわけないと思っていた。祥悟が我に返って、途中でやっぱり止めると言い出すのを、待っているのだ。 いくらいろいろ教えてやるという口実でも、男同士でエロいことするのを前提にシャワー浴びるなんて……普通に考えたらおかしい。 でも、いつまで経っても、祥悟の方がギブアップして来ないから、止めるタイミングが分からない。 ……いいのかな。本当にこのまま裸になっても。
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