第1章 舞い降りた君

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目の前で小首を傾げ、挑発するようなきらきらした目で自分を見ている祥悟に、智也は内心ムッとした。 ……よし。少し、お灸をすえてやるか。 おそらく自分が何も反撃しないから、調子に乗っているのだろう。大人びた顔はしていても、悪戯をして大人の反応を試している子どもと同じなのだ。 智也はふっと微笑んで、手を伸ばした。祥悟の頭の後ろを手のひらで押さえ、ぐいっと自分の方に引き寄せる。 「……っ」 はっと息を飲んだ祥悟の唇を奪った。噛み付く勢いで口付け、強引に唇を割り舌を差し入れる。 大人気ないことしてるよなぁ……と自覚しつつも、咄嗟に奥に逃げ込もうとした祥悟の舌を、絡め取って吸い上げた。 「……っん……っ」 祥悟の鼻から小さな声が漏れた。逃げようとする小さな頭をがっちり押さえつけ、更に口付けを深くする。 智也はそっと薄目を開けてみた。切なげにきゅっと目を閉じた祥悟の、長い睫毛がふるふると震えている。 ……やっぱりまだ子どもだな。ちょっとやり過ぎたかな? 吸う力を少しゆるめて、舌を転がしてみる。祥悟の手が智也の腕を縋るようにぎゅっと掴んだ。角度を変え、舌を絡めて優しく吸うと、ん……ん……っと微かに鳴き声をあげる。 お仕置きのつもりのキスが、なんだかすごく気持ちいい。 祥悟の舌は柔らかくて熱くて、ちょっと甘い気がした。 いつも小生意気な態度ばかりの彼が、ちょっと震えながら縋り付いてくる反応も可愛い。 そろそろ止めないとな……と思いながら、名残惜しくてなかなか離せない。 「……んっふ……ぅ……ん……」 ……まずいな。これは……。 ぬめる舌を転がすように絡めながら、その熱と感触に夢中になっているうちに、鼻から漏れでる祥悟の声にも煽られていた。 下腹に見覚えのある熱が溜まっていくのを感じて、智也ははっと我に返った。 ……さすがに……まずいだろう、これは。
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