第2章 波にも磯にもつかぬ恋

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「おまえ、遅いから、風呂の湯ためてた」 祥悟は湯船に座り込んで、顔だけ出してちろっとこちらを睨みつけている。 「ごめん」 智也は苦笑すると、ゆっくり湯船に近づいた。見上げてくる祥悟の視線がちょっと痛い。 「ふうん……やっぱ智也ってさ、いいガタイしてるよね」 ……いや。そんなにじっくり見ないでくれる? 智也はさり気なく、タオルの前を手で隠すようにして、横を向いた。 「あーぁ。俺、真面目にジム通おうかなぁ。もっと筋肉つけたらさ、貧相じゃなくなるよね」 「うーん。あまり若いうちから変な筋肉つけない方がいいよ。バランス悪くなるからね」 ……さてと。これからどうしよう。 智也はシャワーノズルとボディシャンプーのボトルを見比べた。 風呂に誘った理由は「女の子と一緒にシャワーを浴びてその気にさせるテク」だった。 そんなの、智也の方が教えて欲しいくらいなのだが。 「祥、そのままでいいからちょっと立ってくれるかい?」 なるべく祥悟の方を見ないようにしてそう言うと、祥悟は躊躇いもなく、バッと立ち上がる。 カランから落ちる熱めのお湯からモウモウと立ち上る湯気が、祥悟の肢体を隠してはいたが、つい気になって横目でちらちら見てしまった。 ……ヤバい。鼻血出そうかも……。 ノンケな祥悟の無防備さがちょっと恨めしい。まあ、この状況を作ったのは自分だから、自業自得なのだけれど。 「で?どうすんの?」 ……どうしようかな……。 祥悟は身体を隠しもしないで、無邪気に首を傾げている。智也はごくりと唾を飲み込み 「そっち、入るよ。隣いいかい?」 頷いて端に詰める祥悟に背を向けながら、湯船に入った。 ……うわ。見えちゃった。 見ないようにしているはずなのに、祥悟の股間をちらっと見てしまった自分が情けない。まだ未発達な少年の身体に、意外と立派な長い男の印が垂れさがっていた。 ……触ってみたい……。でもきっと怒るよな。 祥悟が自分に教えて欲しいテクニックに、男のものを愛撫するっていうオプションは、多分……含まれていない。 ……と……とりあえず、身体、洗ってみるかな。
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