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「おまえ、遅いから、風呂の湯ためてた」
祥悟は湯船に座り込んで、顔だけ出してちろっとこちらを睨みつけている。
「ごめん」
智也は苦笑すると、ゆっくり湯船に近づいた。見上げてくる祥悟の視線がちょっと痛い。
「ふうん……やっぱ智也ってさ、いいガタイしてるよね」
……いや。そんなにじっくり見ないでくれる?
智也はさり気なく、タオルの前を手で隠すようにして、横を向いた。
「あーぁ。俺、真面目にジム通おうかなぁ。もっと筋肉つけたらさ、貧相じゃなくなるよね」
「うーん。あまり若いうちから変な筋肉つけない方がいいよ。バランス悪くなるからね」
……さてと。これからどうしよう。
智也はシャワーノズルとボディシャンプーのボトルを見比べた。
風呂に誘った理由は「女の子と一緒にシャワーを浴びてその気にさせるテク」だった。
そんなの、智也の方が教えて欲しいくらいなのだが。
「祥、そのままでいいからちょっと立ってくれるかい?」
なるべく祥悟の方を見ないようにしてそう言うと、祥悟は躊躇いもなく、バッと立ち上がる。
カランから落ちる熱めのお湯からモウモウと立ち上る湯気が、祥悟の肢体を隠してはいたが、つい気になって横目でちらちら見てしまった。
……ヤバい。鼻血出そうかも……。
ノンケな祥悟の無防備さがちょっと恨めしい。まあ、この状況を作ったのは自分だから、自業自得なのだけれど。
「で?どうすんの?」
……どうしようかな……。
祥悟は身体を隠しもしないで、無邪気に首を傾げている。智也はごくりと唾を飲み込み
「そっち、入るよ。隣いいかい?」
頷いて端に詰める祥悟に背を向けながら、湯船に入った。
……うわ。見えちゃった。
見ないようにしているはずなのに、祥悟の股間をちらっと見てしまった自分が情けない。まだ未発達な少年の身体に、意外と立派な長い男の印が垂れさがっていた。
……触ってみたい……。でもきっと怒るよな。
祥悟が自分に教えて欲しいテクニックに、男のものを愛撫するっていうオプションは、多分……含まれていない。
……と……とりあえず、身体、洗ってみるかな。
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