第2章 波にも磯にもつかぬ恋

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「いや。ここがいいって教えてくれたのは、たしかベッドの中だったよ」 正直に答えると、祥悟は何故だか悔しそうな顔になり 「ふーん」 鼻を鳴らしてそっぽを向いた。 智也はもう1度祥悟の身体を抱き締めると、泡だらけの肌と肌を擦り合わせた。素肌が直接触れる感触は、堪らなく心地よかった。 「どう?だんだんその気になってきた?」 「ばっ……か。俺を、その気にして、どーすんのさ? 俺が、知りたいのは、女の抱き方だし」 祥悟は赤い顔をして、ぷーっと頬をふくらませた。 「でも、身をもって知っただろ? こうやってムード、高めるんだって」 「……まあね。智也の手つき、いやらしいよな。触られると、すっげ気持ちいいし」 ……うん……。でも、そろそろ俺の方が限界。これ以上やってると、違うとこ、触りたくなってくるよ。 尻の割れ目からもっと奥とか、太もものところでごろごろしてる君のモノとか。 どうしても触れてみたくなる。 でもそれはきっと、祥悟の望むことじゃない。 「……さてと。身体ざっと洗って出ようか」 「へ? ……もう、終わりかよ」 「うん。君は女の子じゃないからね。これ以上は教えられない」 智也はそう言って、シャワーノズルを壁から外すと、祥悟の身体を流してやってから、自分も素早く泡を洗い流した。 「先に出るよ」 言い残して、祥悟に背を向け、湯船から出ようとすると、ぽすんと祥悟が後ろから抱きついてきた。 「……っ」 「ありがとな、智也」 ……うわぁ……。 背中に抱きつかれて、そんなこと言われるなんて……予想外のオプションだ。 もう、なんなのだろう。この可愛い生き物は。そんなことされたら、止めたくなくなるじゃないか。 「どういたしまして」 智也は振り向きたいのを我慢してそう言うと、祥悟を残して浴室から出た。
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