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智也は思わず仰け反った。そんなこと、聞いてない。
……いや、それならそうと、先に言ってよ。
「と……泊まるの?ここに?」
祥悟はけろっとした顔で、また髪の毛をごしごし拭きながら
「あー。金足りねえなら、俺出すし? つか、ここって泊まりは出来ねえの?」
……いや。いやいやいや。そういう問題じゃ、なくて。
「お金は、大丈夫。あ、泊まりも、もちろん出来るよ、ホテルだし。でも……でもね、祥」
智也の困惑をよそに、祥悟はにぃ~っと笑って
「朝帰りとかさ、俺、したことねーの。なんかわくわくするよね。初体験って感じ」
……いや。初体験……って。ちょ……ちょっと、待って。
祥悟はタオルを椅子の背もたれにひょいっと掛けると、すたすたとベッドに向かい、ぽすんっと布団に身を投げ出した。
「お~。これ、ふかふかじゃん。ベッド、デカイよな。ダブルかな? 寝心地よさそう」
ベッドの上にすらっとした身体を投げ出し、横向きに寝そべって気持ちよさそうに布団に顔をスリスリしている。その姿は超絶可愛い……のだが……。
……こらこら~。腰のタオル、めくれてるよ。お尻、見えちゃってるから。
こちらに背を向けて寝転がっている祥悟の、小さなお尻もすらりと伸びた脚も、丸見えだ。
眩しすぎて……目が潰れる。
……もう……。ほんと、どうしたらいいんだろう、この子。無防備過ぎて、無自覚過ぎて、俺、ちょっと死にそう……。
さっきとは違う涙が滲んできそうだ。
智也は、祥悟の白い脚から、必死に目を逸らした。
まずい。
これは、非常にまずい。
ここでこのまま、祥悟と朝まで過ごす……?
この無邪気な天使くんと?
さっき必死で総動員した自制心に、更なる試練を課せられるのか?
……据え膳喰わぬは男の恥。……とか言っちゃう?
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