第2章 波にも磯にもつかぬ恋

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「あのさ、祥。君、本気で俺とここで朝まで過ごすの?」 智也は立ち上がると、寝そべって足をぱたぱたしている無自覚天使に、ゆっくり歩み寄った。 祥悟はむくっと頭をあげ振り返って 「は?だって泊まれるんだろ? ここ」 「それはそうだけど。ひと晩中ラブホで過ごすって、君は平気?」 祥悟はうーんと首を傾げ 「別に。ラブホっつったって、ここ、いつも泊まるホテルと変わんねーじゃん」 「でも、俺が一緒だよ?」 「だからさ。まだおまえ、肝心なとこ、教えてくれてねーし?ちょうどいいじゃん。時間、気にすることなくなってさ」 智也は内心ため息をつくと 「うーん……。でもさ、俺がもし本当にゲイなら、君、貞操の危機だよね。女の抱き方教える、なんて言いながら、君のこと、襲っちゃうかもよ?」 ゆっくりと祥悟の側に行き、屈んで顔を覗き込んだ。祥悟は形のいい細い眉をきゅっと顰め 「ゲイじゃねえって、言ったじゃん、おまえ。じゃあ、嘘ついたのかよ」 ぷーっとふくれる祥悟の横に智也は腰をおろした。 「前にも言っただろう? 俺がゲイじゃなくても、君は魅力的で無防備だから、こういうことしてるうちに、その気になっちゃうかもしれないよ」 祥悟は智也の顔をじっと見上げた。そのまましばらく黙って見つめ合う。 「うー……。んとさ、男同士ってさ、尻、使うんだよな? 俺、掘られんのは、ちょっとやだ」 智也は苦笑して 「うん。そうだよね。当然だ」 「でもさ。掘られんの以外だったら、俺、智也なら別にいいよ。もっと気持ちいいこと、いろいろ教えてくれるんならさ」 智也は目を見開いた。 ……それ……って……。
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