第2章 波にも磯にもつかぬ恋

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「笑ってないよ。すごく可愛いなって、見蕩れてただけだ。それよりどう?乳首、口でされるのと指でされるの、どっちが気持ちいい?」 「ん……わ……かんね……ど……っっちも……じわじわ、する」 「祥は、ちょっと痛くされると、いいみたいだね」 「ふぅん……それ、って、人にも、よるのかよ?」 「うん。痛いのは絶対、嫌だって人もいるよ」 祥悟は首を傾げ 「惟杏……さんは、どうなのさ」 呟く祥悟のひと言に、ちょっとだけ現実に引き戻された。 ……そうだった。祥悟が自分にこんなことを許しているのは、上手に女の子を抱く為。 つい夢中になりかけてたけど、それを忘れちゃいけない。 「あの人は、痛いのは嫌いだよ。特に乳首は、布越しにさわさわする方が気持ちいいって」 祥悟は驚いたようにこっちを真っ直ぐに見た。 「え。んじゃ舐めんのも、だめ?」 「うーん。そっとだったら、いいと思うけど」 心の中で、惟杏さんにごめんと謝っていた。こんな所で自分と祥悟に噂されているとは夢にも思っていないだろう。 いや、あの人なら、祥悟のこんな健気さを知ったら、喜んで2人一緒に誘ってくるかもしれないけど。 「ふぅん……。人によって違うんならさ、いろんなパターン、知ってた方がいいってことじゃん?」 無邪気に感心しながら呟く祥悟のひと言に、智也の胸は罪悪感でチクチクと痛む。 ……祥……。そんなこと、自分で言っちゃったらダメだよ。それじゃあ、悪い男の思う壷だから。 その悪い男が、今まさに目の前にいるのだけど。 智也はそっとため息をつくと 「そうだね。君がもしいろんな女の子にモテたいなら、その子の感じる所を丁寧に探してあげるといいよね」 祥悟はちょっと唇を尖らせて 「うっわ。男ってめんどくせーし」 「ふふ。たしかに。でも好きな子を自分のものにしたいって思ったら、その子が喜ぶことをしてあげたいよね?」 我ながら、ものすごーく実感のこもった言葉だ。まあ、自分の場合は、好きな子が他の子を落とす為のテクを教えている時点で、いろいろと方向性を間違えているのだけど。
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